Lahore(ラホール3日目)
〜パキスタンならではを体験し日本を振り返る日〜
今日からは、再びラホールでの生活です。一週間ぶりかな。
長距離移動に、ペシャーワル、イスラマバード、と緊張した一週間で、
身体的にも精神的にも、だいぶ疲れてきたけど、
今回2回目のラホールは、何だかちょっと気が楽な感じ。
今日のラホールは、あいにくながら雨。
交通整理のおっちゃんも傘をさしてます。
今回のラホールでは、先週25日・26日のラホールで行き残していたところへ行くことに。
というわけで、今日のメインディッシュ一つ目のラホール博物館へ。
ラホール博物館は、イギリス植民地時代の1894年に建立された、
パキスタンでは最も古い、歴史ある博物館。
建物もヴィクトリア様式の赤レンガで出来ていて、何だかアカデミック。
そういえば、ラホール駅の駅舎も赤レンガのヴィクトリア様式の建物で、
ラホールには、今でも植民地時代の面影が残っているんです。
館内は本当にものすごく広くて、見るところがいっぱいある。
展示してあるものは、ガンダーラ仏教美術や、インダス文明遺跡からの発掘品、
ムガル朝時代の芸術作品、戦闘用の武器、様々な時代のコイン、文書などなど、
一つずつ挙げているとキリがないくらい、たくさん。
数にすれば、世界一なんじゃないの、と思ってしまうくらい。
ラホール博物館の中でいちばん有名な展示品が、『断食する仏陀』。
ガンダーラ仏教美術の中でも代表的な仏像です。
シッダールタが断食をして、皮と骨に近い状態になった姿です。
血管や骨が浮き出て、目のところもくぼみ、リアルな断食姿です。
ここまで保存状態の良いものは、ガンダーラ美術でも稀なんだとか。
ゴータマ・シッダールタは生まれながらにして不自由なく育ったが、
やがて出家し、悟りを開こうと断食の苦行を始める。
そのときのシッダールタの様子を像にしたのが、この『断食する仏陀』。
しかし、長年の断食にもかかわらず、シッダールタは悟りの境地を得られないとわかる。
痩せこけて疲れきった彼は、スジャーターという村の娘からもらった乳粥で元気を取り戻したのだとか。
これは、コーヒーに入れるポーションミルク「スジャータ」の名前の由来にもなってるのかな。
そして、シッダールタはブッダガヤの菩提樹の下で座禅を組んで瞑想を行い、
悟りを開いたのでした。仏陀になった瞬間です。
今回はそれほどゆっくりしている時間がなかったため、駆け足で見ないといけなかったが、
次に行く機会があれば、じっくり一日かけて見るくらいの余裕で挑みたいものです。
そういえば、ラホール博物館に行ったとき、私たちと同じくらいの年齢の日本人が大量にいた。
しかも、あちらも皆シャルワール・カミーズを着ている。
誰かな?と思っていたら、大東文化大学国際関係学部ウルドゥー語専攻の学生とのこと。
あちらも先生と一緒に、研修のような感じで来ているらしかった。
というわけで、ラホール博物館の後に行ったオリエンタルカレッジで、大東文化の人たちと交流会をした。
まず最初に、カレッジのエライさんの挨拶などがあった。
ちょっと眠かったけど、頑張って聞かなきゃ、と思って必死に目を開けて聞いていた。
と思ったら、一番前の大東文化の人たちはぐっすり寝ていた…(^^;
その後に、茶話会。大東文化の人たちと少し話した。
私たちの今回のツアーメニューには入っていないカラチに行ってきたらしい。
カラチはアラビア湾に面する港町です。
1947年の分離独立からイスラマバードが完成する1970年までは、パキスタンの首都でした。
一緒にしゃべった人が何だかやたらと先輩カゼ吹かして話してきたので、
学年を聞いたら案の定2年生だった。
「ごめんね、アタシ3年生なんよ」と言ったら、急に恐縮していた。
私を1年生だと思っていたらしい。すまんね、年増でね(T_T)
最後に記念撮影でおしまい。
大東文化グループはこの後もハードスケジュールのようで、
ハラッパー、モヘンジョ=ダロも行って、さらにイスラマとペシャーワルにも行くんだって。
あーぁ、ソレ絶対倒れるよ…。
お昼は、例の如くサンゲミール書店へ。ラホール1日目・2日目にもお邪魔しました。
こう毎回大人数で尋ねてこられちゃ、イイ迷惑だろうに、
いつもいつも快く私たちを歓迎してくれる。あたたかいなぁ☆
今日は、4本足の動物のお肉は食べてはいけない日らしい。
なので、今日のメニューは水鳥のカレーと、マクドナルドのフィレオフィッシュ。
確かに、水鳥も2本足だし、白身フライになっているのもお魚だから問題ない。
ところで、水鳥って食べれるんかい!と思ったんだけど、よくよく考えてみると、
ダウンジャケットのダウンって、水鳥の羽毛なんだし、羽毛だけ取って捨てるわけでもなし、
そりゃあ、水鳥のお肉だって食べなきゃもったいないわなー、
いや、昔から水鳥を食べていて、食べるのに必要のない羽毛をダウンにしたのだろうか?
なんて考えながら、この水鳥カレーを食した。
フィレオフィッシュは、さすがマクドと唸らずにはいられない味。日本のと同じ味がしました。
今日のデザートは、噂のチャマン・アイスクリーム。
かねてから先生がオススメしていた、ラホールで人気のアイス屋「チャマン」のアイスクリームです。
いろんな種類のアイスクリームが、全部お店で手作りされているらしい。
私が食べたのはピスタチオ。
結構微妙なお味でしたが、おいしかった!パキスタンっぽい味。
さて、今日のメインディッシュ2つ目は、シャーリマール庭園。
シャーリマール庭園は、1642年、ムガル帝国5代目皇帝、シャー・ジャハーンの命で建築された庭園。
シャーリマール庭園もジャハーンギール廟やラホール・フォートで見たのと同じ、
チャハールバーグのムガル様式な庭園です。
シャー・ジャハーンは、26日にも見に行った、ジャハーンギール廟でおなじみ、ジャハーンギールの息子、
そして、バードシャーヒー・マスジッドを建てたアウラングゼーブのお父さんです。
そして、インドのアグラにある、かの有名なタージ・マハルは、彼の奥さん、ムムターズ・マハルのお墓です。
詳しいエピソードは、26日に書いてます(ムガル帝国年表も見てね!)。
1年のウルドゥーの授業の中で、初めて出てきたパキスタンの固有名称が、
「Shalimar Bagh」、そう、シャーリマール庭園だった。
3月、シャーリマール庭園では「Mela Chiraghan(ランプ祭り)」が行なわれる、という内容の文章だったが、
その文章どおり、ココでは3月に「ランプ祭り」が開かれます。
庭園内はランプがたくさん飾られて、とってもキレイなんだそうだ。
噴水跡は圧巻です。噴水跡の真ん中には、踊り場みたいなスペースがあった。
そこで踊り子を踊らせ、皇帝シャー・ジャハーンはテラスの王座に座って楽しんでいた。
そんな遥か昔の優雅な宮廷生活を思い浮かべてみた。
シャーリマール庭園は、1981年にラホール・フォートとともに世界遺産に認定されてます。
また、2000年には危機遺産リスト入りもしていたりする。
というのも、庭に水を送るタンクが、庭園の前の道路拡張によって壊されてしまったのです。
何百年も前に作られた貴重な遺跡だってのに!
でも確かに、見学してて思ったのは、壁とかかなりボロボロだなーということ。
こういう素晴らしい遺跡は歴史を如実に語ってくれるものなんだから、大切にしたいですね。
しかし、今日は朝からの雨と微妙な曇り具合のおかげで、半端じゃなく湿度が高い。
ちょっと動くだけでも、汗が大量に噴き出してくる。
そして、今日のメインディッシュ3つ目。インド国境です。
インド国境? そう聞くだけだと、ただ境界線を見に行くだけなのかと思ってしまうが、
今から行くワガーというところはそんなもんじゃない。
ワガーはパキスタンとインドの国境の町。
2国間を結ぶ道路があり、ちょうど境目のところに重々しい門がある。
その門は1日1回、開門の儀式とともに開かれる。
陸路でパキスタン-インド間を行き来するには、ここをバスで通っていくことになる。
ワガーの国境付近までやってきた。
スタジアムみたいなものが見えてきた。入ると観客席があり、人がたくさんいる。
そして、真ん中の門より向こう側にも観客席があって、向こう側にも人がたくさんいる。
そう、その門こそインドとパキスタンを分かつ国境の門であり、
門の向こう側はまさにインドであり、向こう側の客席にいる人たちはインドに住むインド人。
そういや、日本にいる限り、陸路で国境を越えるということは物理的に不可能だ。
だから、自分の目で、すぐ向こう側が別の国だと認識することは、なかなかない体験だ。
客席は、もちろん男女に分かれて座る。
女性の席に座ってみんなで待っている間、
パキスタンの女の子たちと遊んで仲良くなったりする。
みんな目がくりくりしてかわいらしい。
が、待ってる間はとにかく暑い。
無風、そして多湿。しかもシャルワール・カミーズだから長袖・長ズボン。
暑い。あつい。アツイ。汗がとまらん。
あ゛〜づ〜い゛〜〜〜…。
と、汗をダラダラ流しながら待ち続けること、およそ45分。
ようやく儀式がスタートするようだ。
ちなみに、↑このおじいちゃんは儀式とは関係ありません。
この儀式の前に出てくる名物のおじいちゃんっぽいです。
観客席でもやたら盛り上がってきた。
大きなパキスタンの国旗を振って、みんなで叫んでいる。
「Pakistan Jindabad!!(パキスタン万歳!!)」「Allah Akhbar!!(アッラーは偉大なり!!)」
インド側の観客席でも、インド国旗を振りかざして、何やら叫んでいる。
何だか阪神の応援団みたいだなぁ。
こんな言い方はアレかもしれないけれど、
たかが国境を開ける閉めるくらいでこんなに大層にセレモニーをするんだー。
と、妙に感心をしてしまった。
儀式が始まる。
軍人さんたちが、客席の後ろからゾロゾロと規則正しい歩調で出てきた。
出てきただけなのに、「撃たれるんじゃないだろか」なんて変な心配をしてしまう。
さっきのパキスタンじいちゃんが立っていた辺りまで軍人さんもやってくる。
よく見ると、インド側にもインドの軍人さんが立ってます。
そして、軍人さんたちが門を開く。インドとパキスタンが道一本でつながった瞬間だ。
インド・パキスタン両国の軍人さんが、国境のところで互いにぐぐっと握手を交わす。
おぉ〜〜!!ただの握手なのに、何か感慨深い。圧巻です。
日本では本当に国境なんてないからよくわからないけど、
普通、陸続きで隣りに国があっても、こんなに厳重な雰囲気ではないはず。
そんなインドとパキスタンの関係をすごく表している、象徴的な儀式でした。
儀式のあと、軍人さんが儀式をしていたところまで行くことができた。
門の近くまで行ってみる。ドキドキです。
あと、3歩も進めば、そこはインド。
そして、すぐそこに、インド人がいる。
馬に乗った軍人さんが、すぐそこで見張っている。
…今、私がインド側に走り出してしまえば、ものの数秒で逮捕されうるのだな。
と思うと(何ちゅーことを考えとるのだ)、私は今ものすごいところにいるんだなー、としみじみしてしまった。
日本では絶対に味わえない、感動的な体験でした。
その後、サンゲミール書店のアフザールさん一家とお食事。
昨日の晩も行ったんですが、ラホールのグルバルグにある「ヴィレッジ」というパキスタン料理屋さん。
グルバルグは今っぽい町並みのエリア。レストランもここにたくさんある。
ヴィレッジはその中でも有名な老舗パキスタン料理屋さんです。
建物は、モロッコとかにあるような土造りのおしゃれな外観。
で、レストランはビュッフェ形式で、いろんな種類のお料理を好きに取って食べられます。
店内には料理人もいて、出来立てを出してくれます。
これで365Rs(約700円)。
カバーブはもちろんのこと、ビリヤーニー、カライ、コールマー、キーマもうまかった!!
ラッシーもチャイもがぶがぶ飲んでしまった。食後のアイスもおいしかった〜。
ちなみに、ビリヤーニー(biriyani)は、最近、日本のインド料理屋なんかでも目にしますが、
炊き込みご飯とピラフの間みたいなもの。これがうまいんだぁ。
カライ(karahi)は、お鍋の名前からきていて、その鍋で作ったカレー風味の煮込み肉料理って感じかな?
コールマー(qorma)は、炒めた野菜や肉をヨーグルトで煮込んで作ったカレー。
キーマ(qeema)は、日本でもその名が有名になってきましたが、ひき肉カレーのこと。
同じカレーでも、呼び名が違うんですな。
食べているところに、ヴィレッジが雇っているミュージシャン?がやってきた。
パキスタンの民族音楽を聴きながら、いい気分で食事を楽しむ。
ん〜、イイねぇ♪
と思っていたら、2曲、3曲と終わっても、いつまでたっても下がらない。
お金をくれるとでも思っているのだろうか。
結構しつこかった。
でも、素敵な音楽ありがとうございました。
そして、本日最後のイベント。
みんなのリクエストで、遊園地「ジョイランド」へ行くことに。
夜なので、乗り物がカラフルなネオンに彩られてきらびやか。
うーん、ウキウキしてくるねぇ。
まずは、入り口でフリーパスを買う。何と75Rs(150円)。
や、安すぎ!何かヤバそうやなぁ…。
アトラクションは、日本の遊園地にあるようなごく普通の乗り物。
観覧車、空飛ぶじゅうたん、ジェットコースター、などなど。
なんですが。
えーと、えーと…。
結論から言いまして、やりすぎです。
何がやりすぎかといいますと、
回り「すぎ」で、回るのも速「すぎ」で、乗ってる時間も長「すぎ」!!
とりあえず、どれに乗っても目が回る。
ジョイランドにいる間中、フラフラだったので、ここの写真はありません(汗)。
まず、観覧車。
高さは日本のよりもかなり低い。
観覧車に乗る前、私は明らかに観覧車の回る速度がおかしいことに気づいた。
しかし、何事も挑戦だし、速いから楽しそうやん、ということで、乗ってみた。
だが、その見た目以上の回転スピードに、乗ったことを心底後悔した。
なんと、ほんの十数秒で一回転してしまうのである。
それが5分以上は続いていたと思われる。
しまいにゃあ、「怖いよ〜〜」「降ろして〜〜!」「助けて〜〜!!」と、
観覧車なのに絶叫マシーン並みの悲鳴を上げずにはいられなかった…。
そして、空飛ぶじゅうたん。
これは、日本のものとそんなに大差はないんだけど、
乗ってる時間が長すぎるんです。
日本のだと、乗ってる時間は大体2〜3分くらいだと思うんですが、
ジョイランドのは、その2倍3倍の時間、乗っていたのではなかろうか。
先生と一緒に乗っていて、最初は面白い面白いと言い合ってたのですが、
やっぱり、しまいには「気持ち悪い〜〜」「もういいって〜〜!」「降ろして〜〜!!」
と弱々しい叫び声を上げるはめになったのであった。
これのおかげでめちゃ酔ったし…。
人生の中のほんの一瞬の出来事なんだ、と言い聞かせて我慢していたが、
それでも、こんな悪夢二度とごめんだ!!
唯一、面白いと思えたのが、プチジェットコースターみたいなもの。
まぁもちろん怖いんですが、比較的短時間で終わったし(笑)、いい意味のスリルがあってよかったと思う。
日本のジェットコースターみたいに長いコースはありません。U字のレールのみ。
最初はUの真ん中の一番低いところにコースターがいるんですが、急にバックで進み出すんです。
そう、コースターのお尻が上がっていっている状態。
怖い。後ろ向きに進んでるから、いつ一番上に着くのかわからんの。
で、一番上まで来たら…、もうわかりますね。
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁ〜〜〜」
いろんな意味でエキサイティングな遊園地でございました。
日本の遊園地じゃ、こんな恐怖体験はできんだろうな…。
皆さんもラホールに行った際は、ぜひジョイランドへ!!