Lahore(ラホール1日目)
         〜バザールの買い物に胸がときめく日〜

朝、目を覚ますと、やたら華やかで花柄まみれの部屋にいた。
異常に重苦しい分厚いカーテンをこっそり開けて外を眺めると、
今まで見たこともないような、異国の街の風景が広がっていた。

私、ラホールに来ているんだ。パキスタンにいるんだ。

眠気の覚めやらぬ頭が、徐々にその事実をかみしめ始めていた。


起きてダラダラと身支度をし、朝食をとりに1階のロビーへ行った。
ホリデイインのエレベータは面白い。
停まるたびに、いちいち「Second Floor」とか「Fifth Floor」とか、
カラオケばりのエコーが聞いた声で、どこぞのお姉さんが教えてくれる。

朝食の前に、ロビーのクロークでドルからルピーに両替を頼みに行った。
800ドルほどあったお金を、とりあえず500ドルくらいルピーに両替。

しかし、ロビーの人はてんてこ舞いしていた。
そう、私と同行していた他の後輩たちも、朝から大量のドルを両替しに来ていたのだった。
そりゃあ、朝っぱらから十何人と100ドル札もって両替しに来られて、困らないわけがない。
クロークの人は、ルピー紙幣が足りなくなったと言って、大慌てで銀行に向かっていた。

そうそう、そういえば、お金を渡す時に驚かれたことがあった。
日本ではおなじみだけど、札を指で1枚1枚滑らせてめくっていく数え方。
クロークのおニイさんが、「もう1回やって」と興味深げに見ていた。

朝食は、タイと同じくビュッフェスタイル。
朝、部屋のドアの下に挟んでくれているクーポンみたいなチケットで朝ごはんが食べれる。
朝の日の光がさんさんと差し込むガラス張りのテラスでのお食事。
うーん、優雅ですわ☆

パンやオムレツ、コーンフレークといった、定番の朝食もあれば、
もちろん、豆や野菜、挽肉などのカレーやチキン、ナンもあり、朝から豪勢である。
飲み物も紅茶やコーヒー、ミルクのほかに、大好きなラッシーも!
ラッシーは甘いラッシーのほかに、塩のラッシーもあった。
ついつい、朝から食べ過ぎてしまうわ〜。

ホリデイインの門番のおっちゃん


準備も万端。まだお買い物をしていないので、日本から持参の服でお出かけ。
女性は極力肌や体のラインを見せないように、ということで、
真夏だというのに、トップスは長袖のジャケット。
そして、普段はぴったりしたジーンズを履く私が、ゆったりストレートの綿パン。

昨日空港にお迎えに来てくれていた、あのおじちゃんがホテルの前でバスをつけていた。
ビンラディン風に、白の帽子にあごひげもじゃもじゃ、彫りの深いアラブ系の風貌。
でも、怖そうな見た目とは裏腹に、奥まった瞳に人のよさそうな印象がちらほら。
これからお世話になりまーす☆


今日の一発目は、パンジャーブ大学オリエンタルカレッジ。

構内の芝生も美しい☆

うちの先生の母校でもあるこの大学は、1878年創立のパキスタンで最も古い大学。
イギリスのロンドン大学を模した、赤レンガのアカデミックな大学だ。
その赤茶色の建物とは対照的に、敷地内の緑がかんかん照りの空に映えていた。

建物内はシンプルな感じで、風通しがよく、教室も快適な涼しさだった。
なんと、パソコンの部屋もあった。なんと、という言い方は失礼か。
でもそんな文明機器があるなんて。
パキスタンをなめていた。恐れ入りました。

そして、何故か構内にリクシャーが置いてあったので、早速カメラに収める。

誰のか知らんけど勝手に座ってみた

リクシャーは、屋根つきオート三輪、とでも言えばいいのだろうか。パキスタンでは主流のタクシー。
運賃は10〜20ルピー(20〜40円)くらいが相場のようだが、
日本人だとわかれば、40〜50とあげてくるらしい。
それでも日本人は安いと言って払うからなぁ。


話がそれました。

しかし、さすが先生の出身校とあってか、
学校の門をくぐる時も、顔パスで難なく通って行けたし、
構内でも、何やら先生のお知り合いと思しき方々にも多数出くわし、
先生と抱擁して再会を喜び合っていた。


パキスタンでは、同性(多分男性のみ)で仲の良い人同士が挨拶をするときは、
互いにぐっと強く抱き合って喜び合う。
あまりに情熱的というか、熱い歓迎ぶりなので、
最初こそ慣れなくてビックリしていたが、それが普通の挨拶のようだ。

ときどき、男性同士が手をつないで歩くのも見た。
「ゲ、ゲイ?!」なんて思ってしまったのだが、これもよくある光景らしい。
まぁきっと、中には本気でゲイの人もいるのかもしれんが。

大学内はやっぱり男性が多く、女性だらけの私たちはかなり注目をあびていたが、
中には、シャルワールカミーズを身に付けた女性も、何人か固まって歩いていた。
私たちは普通の洋服で歩いていたのだけど、
こちらに来れば、洋服がなんだか気恥ずかしく感じられた。


 パキスタンに来れば、女性はシャルワールカミーズで歩く方が当たり前。

 シャルワールカミーズとは、パキスタンの女性の民族衣装のことで、
 丈の長いワンピースのようなカミーズと、
 ゆったりしたズボンのようなシャルワールのことである。
 その上下セットに、首から垂らすドゥーパッタというショールも合わせて、
 3点セットで売られている。

 ←写真ではちょっとわかりにくいですかね…。
   この後、いっぱい買いますから読み進んでみてください。

 買い物は後ほどたっぷりと書きます。


昼食は、一体どこで食べるのだろうと思っていたら、
ラホールのとある界隈を入っていったところにある書店へ案内された。

サンゲミール(Sang-e-Meel)という、パキスタンではかなり有名な書店だ。
先生が留学していた当時、この書店でいろいろとお世話になったということで、
なんと、こちらで昼食をいただくのだという。
え、書店で??

入り口は、怪しい取引でも行われそうな雰囲気だったが(←失礼)、
書店に足を踏み入れると、視界の先は本の背表紙で埋め尽くされた。
所狭しと並び、整然と積み重ねられた本で溢れていた。

本の向こう側にテーブルが

その堆い山の奥に、机とイスが並べられていた。
サンゲミールは、毎日のように著名な作家たちが集い、
この机を皆で囲んで語り合っては著作を書き上げ、
その本が、ここサンゲミール書店にずらり並べられるのだという。
そして、ここで出される食事にも皆、舌鼓を打つのである。

そんな素敵な場所で、私たちもお食事させてもらえるということで、
なんだか胸がワクワクした。
日本でこんな本屋さんってあるのかなぁ?

書店のオーナー、ニヤーズさんとアフザールさんは、
大人数にもかかわらず、私たちを快く歓迎してくれ、
パキスタン料理もたっぷり用意してくださった。うれしい限りです。

パキスタンドリンクの基本は、ボトルコーラにストローざしで♪

マトンのカレーに、ヒヨコマメのカレー、チキンとホウレンソウとダイコンのカレー。
どれもめちゃめちゃうまかった!!
さすが、数々の作家さん達からお墨付きを授かっただけのことはある。

食後には、温かいチャイとアイスクリーム、生マンゴーまでいただいた。

チャイは、こちらではお馴染みの飲み物。
ミルクから紅茶の葉っぱを煮出して色を出し、スパイスちょこっとと、たっぷりの砂糖を入れた紅茶。
暑い暑いパキスタンでは、こんな甘い飲み物がぴったり。

マンゴーは、パキスタンで必ず食しておかねばならない果物だ。
日本で生マンゴーを食べる機会はそうそうない。
デザートの中に入った、角切りの缶詰マンゴーを食べるくらいのものだ。

茄子の一回り小さいくらいの大きさの、まっ黄色に熟れたマンゴー。
氷水を張った桶から、頃合いのよさそうなものを一つ手に取るだけで、
そのジューシーな甘い香りに、暫し、酔いしれてしまう。

マンゴーの食べ方は2つある。

まず一つは、普通にナイフで皮を削ぎ、真ん中の種を割らないよう、
三日月形に一切れずつ、切り分けて食べる方法。
柔らかく身の詰まった果肉を丸ごと味わえる。

そしてもう一つ、これは初めて知った食べ方だが、
まず、マンゴーを皮を剥かずに外から指で揉んでいくのだ。
ただひたすら、むにむに、もみもみ、むにゅむにゅするのである。

皮と中心の種が触れるくらいに柔らかくなってきたら、
上のヘタを噛みちぎって穴を空けたら、口を吸い付け、
揉みほぐされてジュース状になったマンゴーを味わう。
何とも濃厚なマンゴージュースの出来上がりだ。
これは、パキスタンではポピュラーな食べ方らしい。

キンキンに冷えたマンゴーは食べ始めたらとまらない。
入学当時から先生が声を大にしておっしゃっていた、
輝かしきマンゴーの魅力を、今やっと身をもって体験できた。


さて、お腹も満足したところでサンゲミール書店を後にし、
待ちに待ったお買い物の時間である。

ラホールのバザールといえば、アナールカリー・バーザール。
狭い路地にいろいろなお店が並んでいて、とっても賑やか。

雑然 ちょっと奥へ入ると…

お買い物でまず購入すべきは、やはりシャルワールカミーズ!
服屋さんを覘くと、色とりどりのシャルカミがいっぱい飾られていた。

カラフル〜★☆ マネキンはショートヘアなのね

すんばらしい刺繍です
 あまりにたくさんの種類がありすぎて、目移りしてしまう。
 ブルーもシンプルでかっこいいな。ピンクもかわいくてよさそうだな。
 グリーンも鮮やかでキレイし。冒険して黄色もおもしろいかもね。

 さんざん迷いに迷った挙句、1着だけ買ったのが、
 黒地に赤の刺繍が入った、シックなシャルカミ。何だか魔女風?

 お値段は、何と、1800ルピー(3600円)!!
 日本で買ったら1万に近いくらいの価格にはなるだろう。
 1800ルピーでも、他のに比べればちょっと奮発した方なのだ。
 他にももう1着欲しかったが、自分でコレと思うものが見つからず断念。


左はラメラメ、右は鏡細工

 それから、もう1つ買わねばならなかったもの。チューリヤーンだ。

 チューリヤーンとは、腕輪のことである。
 チューリー(curi)で1コの腕輪、チューリヤーン(curiyan)で複数形だ。
 腕にいっぱいはめて、おしゃれ度がアップ!

 これまた、たくさんのチューリーが店頭に並んでいた。
 大きさもさまざま。デザインもどれをとっても美しいものばかり。
 ガラス製のシンプルなものから、ラメがいっぱいついたもの、
 鏡や石の細工がしてあったり、鈴がついたものまで、
 種類豊富に取り揃えてあった。


どれが良いのか、皆目見当も付かなかったので、
店のおっちゃんに、良さそうなものを見繕ってもらった。

さっき買ったシャルカミの色に合わせて、
黒のラメのガラス製チューリヤーンに赤のチューリヤーンを組み合わせて
セットにしてもらった。これで50〜60ルピー(100〜120円)程度。
一種類のチューリヤーンだと、一箱(20〜30本入)で10〜20ルピー(20〜40円)。
とにかく安い! の一言である。

おっちゃんは首筋までラメだらけ 店のおっちゃんは手や顔をラメできらきらさせながら、
 次から次へとキレイなチューリヤーンを出してくる。
 しかも、超小さいサイズ! 入らんよ〜。

 それでもおっちゃんは「No problem!」(ノープローブレム!)
 「大丈夫!」と言って、するんと腕に通してくれる。

 しかし、ガラス製のチューリヤーンは、いとも簡単に折れてしまう。
 普通に付けているだけでも、勝手に何本かぽきぽき折れてくるし、
 外すときは当然、確実に手の方がでかいので、もう完全に使い捨て状態。
 しかも、割れたガラスの破片で、腕に小さな傷も付いているし、
 腕にはラメがびっしり付いている。なんちゅーアクセサリーだ〜(笑)

 これは話のネタになるぞ。おもしろいので友達のお土産に決定!


一旦ホテルに帰って、みんなシャルワールカミーズにお着替え。
みんな赤やら青やら黄色やら、彩り鮮やかでステキ☆
これでちょっとはパキスタン色に馴染んだかな?

夕食は、ラホールでも最高級クラスのアバリホテル内の日本食レストラン。
「フジヤマ」という、何ともベタなネーミングのレストランだ。
テラスにはプールがあって、内装は落ち着いた和風味だった。
ときどき和食などの馴染みの味をはさんで調節しないと、
毎日が慣れないパキスタン料理の連続では、胃が落ち着かない。

私が注文したのは、カツどん。

ちょっと濃いめ

久々のダシの味に、思わず顔がほころぶ。

思わず笑ってしまったのは、無料で提供してくれるお茶。
お茶というか、お湯がほのかにお茶風味? という味わいだった。
まずくはないが…飲んだ気がしなかった。

値段はいくらか忘れたが、日本の定食屋より若干高いかな?くらいの値段。
ということは、パキスタンではかなりの高級料理店ですな。
まぁホテルの中にあるのだから、当然といえば当然か…。

アバリはかなりゴージャスで煌びやかなホテルだった。
1週間後には、再びココを訪れます!
(いつになったら1週間後がUPされるかな…汗)



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