Ray / レイ ('04 アメリカ)


<ストーリー>

17歳のレイ・チャールズ・ロビンソン(ジェイミー・フォックス)は故郷ジョージア州を離れ、バスでシアトルへ向かう。
彼は過去の弟の溺死によるトラウマで、7歳のときに視力を失っていたものの、
音楽の才能を認められ、R&Bとゴスペルを融合させた新しい音楽『ソウル』を作り上げ、一躍有名になる。
だが、その裏では麻薬に溺れ、複数の女性との愛人関係など、生活はすさんだものだった…。


<評価>

★★★★★(五つ星級!!)


<かんそー

やっぱり私は音楽が大好きなのかも。
こういう映画を観ると、体の中から何かが沸き起こってきますね。
あー、ピアノを久々に弾きたい!歌いたい!
何で自分は音楽の才能に恵まれなかったんやろう、とか意味もなく考えてみたりもする。

レイ・チャールズは大好きなミュージシャンの一人です。
彼が戦後の『ソウル・ミュージック』を作りあげたと言っても過言じゃない。
だけど、そうは言ってみるものの、私は今までがっつりたっぷりレイの音楽を聴きまくっていたわけでもないし、
ましてや、レイがどういう人生を送ったかなんて知る由すらなかった。

レイに関する私の限られた知識といえば、盲目であったということ。
サザンオールスターズの「いとしのエリー」をカバーしたということ。
テレビでチラっとみた、上半身を仰け反らせるような特徴的なピアノの演奏法。
弾き終わった後に、両手を胸の前でクロスさせ、上を仰ぎ見るくせ。
そして、彼に関する新しいニュースといえば、レイが亡くなったということ。
そのニュースを聞いた時は、あぁ、大物が亡くなったんだなぁ、程度にしか思ってなかったが、
この映画を観て、この先、彼ほどすごいミュージシャンは現れるんだろうか、なんて考えてしまった。

ソウルを作りあげた巨匠。だけど、彼にも苦労はあった。
まずは盲目ということ。そして、"Colored"、=黒人であるということ。
確かに、それらの差別は、のちの彼に暗い影を落とすことにはなるが、
私が観ていて思ったのは、そんな彼のハンディキャップも音楽の神様は問題にしなかった、ということ。


ゴスペル音楽に愛の詩をのせて歌う ―
 ― 戦後当時は、今ほどの自由もなく、敬虔なクリスチャンも今より多かったであろう時代。
『悪魔の音楽だ』 反発だって相当のもの。
だけど、彼のソウルフルな音楽は人々を惹きつけてやまなかった。
シンセサイザーによる打ち込みの音楽が主流になりつつある時代になっても
未だ色褪せない、魂のこもった彼の曲たちは、極彩色の絵画のように華やか!

だが、レイは、過去の辛い記憶を紛らわすかのようにヘロインに溺れ、
それでも尽きることのないいくつものヒット曲によって、
地位も、名声も、金も、女も、自分の思うがままだった。
盲目でも女には困らない。こちらもまた彼の天性の才能かもね(笑)。
これぞまさに、女には「目がない」(笑えねぇー)。
そんなレイの女性関係を見てると、ホントに「こいつは女の敵!!」と言いたくなる。
なのに、最後まで愛想尽かさなかった奥さん、すごいなぁ。強い女性です。

3時間近い作品なのに、最後まで飽きずに観れました。
時々眠くなったりもしたのだけど、イイところでファンキーな演奏シーンが入ったり、
幼少時代のトラウマがフラッシュバックでよみがえってきたり。
それと、当たり前ですが、黒人俳優が目白押し。
おかげで、どれが誰なのかわけわからんくなってしまいました(汗)。

でも、先日のアカデミー賞では、見事主演のジェイミー・フォックスが主演男優賞を獲得しましたね。
彼は『コラテラル』で助演男優賞にもノミネートしてたけど、
こちらは重鎮モーガン・フリーマンにオスカーの座を譲り、男優部門を黒人が制覇しました。
ジェイミーは、レイ・チャールズ本人から直々に役目を授かっただけのことはあって、
仕草から演奏、何から何までホントにレイになりきってたと思う。
まるで、レイの魂までもが乗り移ったかのようでした。


(鑑賞日 2005・2・21)
(記入日 2005・3・1)


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